友人と恋人と、寒い時期に囲みたいものと言えば、そう、鍋ですね。
鍋料理自体はお手軽ですが、問題なのは、縁の下の力持ち、土鍋の選び方。
手入れも面倒臭そうで、少し敷居の高い土鍋。100円から1万円超えと値段の幅が大きく、何を基準に選べばいいのかわからなくなってしまいますね。
今回は念願の鍋シーンを叶える土鍋の選び方と、長く付き合うためのお手入れ方法をご紹介します。
土鍋が導く料理上手への道
選び方を紹介する前に、土鍋を鍋料理にしか使わないのはもったいない!
煮物、炒め煮、炊飯、果てはお菓子作りまで、土鍋の用途は実に多彩、一人暮らし料理の強い味方です。土鍋を使うだけで、料理上手への道は近いかも。
煮物に土鍋が向いているのは、ゆっくり火が入り、ゆっくり冷めていくことで味が染みやすいから。長い間高い温度を保てるので加熱時間が短くエコですし、火を消しているのでそばについていなくても良いという利点があります。
炊飯は土鍋の得意分野。「土鍋 ごはん 炊き方」と検索すると様々な方法がでてきますが、簡単でミスのないオススメの方法はこれ。
- お米を研いで浸水させる。水はお米と同量(米1合に水180ml)。鍋の中でOK。
- 1を火にかける。中強火で10分、火を止めて15分蒸らす(蒸らし中は蓋を開けないこと!)
たったこれだけ。
蒸らしを含めても、30分かからずにつぶのたったお米を炊くことができるんです。
意外なところではお菓子作り。土鍋の保温性の高さを生かした料理です。
「土鍋 スイーツ」で検索すると、クックパッドでは200以上のレシピがヒット。プリン、蒸しパン、シフォンケーキなど、今までオーブンがないからとお菓子作りをあきらめていた人は、是非土鍋を選ぶ時に頭に入れておいてください。
土鍋の選び方4つのポイント
土鍋ワールドが広がったところで、選び方のポイントは次の4つ。
- サイズ
- 形
- 素材
- IH対応
順番に見ていきましょう。
1.サイズ
土鍋のサイズは「6号」「8号」のように表記されています。この「号」は「寸」、つまり約3cmのこと。6号鍋は約18cm、8号鍋は約24cmの鍋です。
ただ気を付けたいのはメーカーによって同じ号数でもサイズが違うこと、この表記は持ち手も含めたサイズであること。持ち手の大きさによって本体の口径、容量が変わってきます。
目安としては次のようになります。
6号鍋 | 1~2人鍋、少量の料理向き |
7号鍋 | 2~3人鍋、お米2合炊きサイズ |
8号鍋 | 3~4人鍋、お米3合炊きサイズ |
ちなみに、大は必ずしも小を兼ねません。
大きすぎると煮汁が多くなり、煮る時間もかかります。
決めかねる場合は100円均一や3coinsの鍋は6号サイズなので、試してみるのも良いかもしれません。
2.形
伝統的な日本文化のイメージのある土鍋ですが、様々な形のものが作られています。
浅型 |
空炊き可能なものが多く、素材の水分で蒸す、焼くに向くタイプ。 いわゆる鍋料理には向かない。 |
深型 |
いわゆる土鍋。 鍋料理、煮物、炊飯もこなす汎用タイプ。 |
炊飯用 |
炊飯特化タイプ。 深型よりさらに深く、底が丸いので対流でお米が美味しく炊ける。 高さがあるので、深型よりも小さい口径でお米が炊ける。 |
多様鍋 |
炊飯用よりさらに深い。 球に近い形をしており、中に蒸し器がついているものも。 |
今はおしゃれな土鍋も増えています。
例えば持ち手がなく本体にくぼみをつけているものは省スペースですし、底が平らでココットのような土鍋は同じ口径・高さの鍋に比べても大容量です。
蓋のふちが高いと吹きこぼれしにくくキッチンやテーブルをきれいに使うことができます。
また、昔ながらの土鍋と違って、おしゃれな土鍋はキッチンに出しっぱなしでもインテリアとしてなじむのが特徴です。
自分の料理スタイルとキッチンと相談してみてくださいね。
3.土
土鍋の性能はその素材である土次第。この土は大きく3つ+1つに分けられます。
萬古(ばんこ)焼 | 国産のほとんどの土鍋の材料。 土が細かく汚れが落ちやすい。 土鍋の良い要素を持ちつつ、値段も安価で手軽。 |
伊賀焼 | 萬古焼とは逆に土が荒いのが特徴。 蓄熱性が高く火のあたりが穏やかだが、臭いが付きやすく、汚れが落ちにくいのが欠点。 ごつごつ感があるものが多いので、男らしいインテリアにあう土鍋とも言えます。 水炊きや寄せ鍋、おでんが好きな人にオススメ。 |
セラミック | 萬古焼よりさらに土が細かく、汚れにくく臭いが付きにくい。 目止め(後述)も必要なく手軽、おしゃれでデザインも豊富だが、値段が張るのが欠点。 キムチ鍋やチーズ鍋などしたい、ヘビーユーズしたいという人にオススメの土鍋です。 |
ホーロー | 正確には土鍋ではありませんが、「土鍋風」とよく売り出されているのがこのタイプ。 人気の「ル・クルーゼ」や「ストウブ」もホーローです。 土ではなく鉄やアルミに釉薬をかけて焼いたもの。 熱伝導率が良いものが多いので焦げ付きにくく、臭いが付きにくい。 土鍋には劣るが保温性もあります。 |
4.IH対応
IH対応の土鍋も多く作られています。
店頭・ネットショップを問わず、ほとんどの場合IH対応の可否が明記されていますが、わからなかったら聞いてみましょう。
見た目で判断するポイントは土鍋の底。
底が丸いものは直火のみ、平らなものは着脱式で、ガラス質の発熱体があるものは埋込式でIH・直火対応となっていることが多いです。
注意したいのは、底が平らな着脱式は便利ですが、土鍋が高温になりすぎてIH調理器を傷めるケースがあること。
土鍋は非常に高温になります。高温状態が続きすぎないよう注意しましょう。
また、土鍋の多くは電子レンジ対応ですが、中には対応していないものもあります。温め直しやお菓子作りで電子レンジを利用する人は確認しておきましょう。
土鍋のお手入れ・メンテナンス
手をかければ長く使える土鍋。お手入れ方法は、通常の調理器具とは少し違います。
ポイントは5つ。どれも覚えてしまえば簡単なので、手入れして長く使ってあげてくださいね。
- 土鍋料理はスローライフ
- 買ってきてまずやるべきことはおかゆ炊き
- 焦げ付かせてしまったときは重曹の出番
- 臭い消しにはお茶が良い
- しまう前の乾燥方法と、してはいけないこと
1.土鍋料理はスローライフ
土鍋は急激な温度変化に弱い鍋です。
鍋底が濡れたまま火にかけたり、最初から強火で熱したり、逆に熱くなった土鍋を水で急激に冷やしたりするとひび割れや割れに繋がります。
ゆっくり温まる土鍋をゆっくり楽しみましょう。
2.まずやるべきことはおかゆ炊き(目止め)
土鍋を買った。
鍋パーティに美味しいご飯にと夢は膨らみますが、まず一番最初にしなければならないのが「目止め」、おかゆを炊くことです。
土鍋の素材は土で、素地の目やひびなどの小さな穴があります。この目をおかゆのでんぷん質で埋めていくのが「目止め」。
サボると水漏れしてしまい、最悪割れてしまうことも。
方法は簡単で、土鍋の7~8分目程の水と1~2分目程のご飯を入れ、弱火でゆっくり炊き込みます。
おかゆが炊けたら1日以上放置した後に洗い、よく乾燥させるだけ(生米ではできないので注意)。
セラミックは土の目が非常に細かい為、この目止めが必要ないのです。
買ってきた時同様、シーズン最初に使う時も行うと良いでしょう。
なお、簡単なひび割れ・水漏れなら同じ方法で直すことができます。
3.焦げ付かせてしまった時はぬるま湯で優しく
割れやすく欠けやすい土鍋は、クレンザーや金属たわしは使えません。
ぬるま湯を入れて焦げをよくふやかして、たわしなどで擦ってください。
どうしても落ちない場合は重曹の出番。
水とたっぷりの重曹を入れて沸かし、一晩おいてからたわしなどで擦ります。
大事なのは焦げをふやかせること。無理に擦ると割れる原因になります。
4.洗い方・匂い消しにはお茶が良い
土鍋の土は吸収しやすい素材。
料理の臭いも吸収しやすいので、残り物は早めに他の容器に移して洗ってしまいましょう。つけ置き洗いもあまりオススメしません。
しかし、気を付けていても臭い移りしてしまうこともありますね。
そんな時には、鍋の7分目までの水と茶殻(出がらし)をひとつかみいれて10分煮沸。お茶のカテキンが臭いを消してくれます。
キッチンハイターは使わないこと。ハイターの臭いを吸収し、塩素臭い鍋になります。
5.しまう前の乾燥方法と、してはいけないこと
冬の終わりと同時に、土鍋の使用回数は格段に減ります。
その時に気をつけたいのが、しまい方。
段ボールに入れる人が多いのですが、これはカビを生やす原因。
繰り返しになりますが、土鍋の素材は土、呼吸する鍋です。しっかり乾燥させた上で適宜吸湿・放湿ができるよう、新聞紙に包んでしまいましょう。
新聞紙がない場合は近所のコンビニや販売店に行ってみましょう。夕刊なら50円程、古新聞なら無料でゆずってくれるところもあります。
乾燥は天日干しが一番ですが、一人暮らしでは中々難しいもの。その場合は洗って乾かした鍋を10~20秒火にかけ、そのまま一晩放置しましょう。
なお、カビが生えてしまった場合は土鍋7分目の水と大さじ2~3杯程度の酢をいれ10分煮沸、熱湯を捨ててよく乾燥させます。目止めも忘れずに行いましょう。
土鍋まとめ
土鍋の選び方とお手入れ方法を、もう一度おさらいしましょう。
- 煮物・炊飯・お菓子作りまで、土鍋は料理上手への近道。
- 選ぶポイントはサイズ・形・素材・IH対応の4つ。キッチン事情と相談を。
- お手入れ1:温度変化はゆっくりと。急だと割れる原因に。
- お手入れ2:買ってきたらまず目止め。小さなひび割れ・水漏れも直せる。
- お手入れ3:焦げつきはぬるま湯でふやかす。落ちない場合は重曹で。
- お手入れ4:臭いがついたらお茶をわかす。ハイターは厳禁。
- お手入れ5:しまう前にしっかり乾燥を。段ボールではなく新聞紙で包む
土鍋のお手入れは少々面倒ですが、あまり神経質になりすぎず、おおらかに付き合うのがコツかもしれません。
金だわしでごしごし擦ったり、つけ置き洗いをする知人もいますが、長く愛用しているようです。
鍋料理だけではない、一人暮らしの強い味方、土鍋。
あなたにぴったりな鍋を見つけて、素敵な土鍋ライフを楽しんでくださいね。